レーザー療法


 レーザー療法もいろいろ種類がありますが,痛みの治療に使うのは低出力半導体レーザー療法 low-level laser therapy(LLLT)と言われ,Lancet他一流雑誌でもエビデンスが認められています.そのメカニズムや資料は最後にまとめますので,まず実際の様子を.
 上の写真は67歳男性,農作業で疲れていたところに昨日は1日中車の運転で同じ姿勢をとっていた.今日の朝から立つのも辛い腰痛で往診しました.
 画面右下に映っているのがレーザー治療器メディレーザーパルス10で持田シーメンスが平成18年に発売(製造は松下電器,27年から保守などOG技研に移管)は)したもので,従来器の10倍の出力となりパルス出力で深部までレーザー光が到達するのが特徴です.
 移転する前の南谷希望の杜診療所ではこの器械が3台フル回転(私が照射部位を指示・マーキングし看護師・看護助手が実際に照射する)し1日10人から20人の患者さんが但馬一円から集まっていました.自慢をしているのではなく,それだけこの分野の治療は遅れていることの裏返しです.
 診療所が移転して訪問診療が主になった現在も往診車や訪問看護車に積んで治療しています.

 この患者さんは88歳男性,昨日買い物中にかがんだ際にギクっといったそうで本日にあり悪化して往診依頼.
 1番目の患者さんは腰椎の椎間関節付近に圧痛がありこの2番目の患者さんは中殿筋と仙腸関節に圧痛点ありました.
 腰痛のレーザー治療の根本は医療の基本ですがよく問診し,また,触診することです.
 そうすると必ず硬結を伴った圧痛点が発見できます.
 またそれらは東洋医学でいうツボ,経絡ともよく一致するところが興味深いところです.
 下の図でいう大腸兪,胞膏などはレーザー治療でもよく使う照射部位です.


こんなことを今から20年前の1999年ごろからレーザー治療器は新しい機種に入れ替えながらやっていました.
その頃の論文をみるとレーザーなどを導入する前は月200人程度だった理学療法の
患者さんが半年で月千人を超えています(→PDF).
その状態は2014年の移転まで続きました.
そんなことをしていると世の中も段々と進歩し,腰痛の原因もしっかり診断できるようになりました.

 

 

 

 

こんな感じでエコーで筋膜性腰痛,椎間関節性腰痛などの原因を診断をして治療に生かすのです.
これまで何となく経験や触診による圧痛・硬結をもとに照射していましたが,
やっと理論的にレーザー治療ができる時代になってきました.

PLoS One. 2016; 11(8): e0160454.
Published online 2016 Aug 22. doi: 10.1371/journal.pone.0160454


Diagnosis and Characters of Non-Specific Low Back Pain in Japan: The Yamaguchi Low Back Pain Study
Hidenori Suzuki,* Tsukasa Kanchiku, Yasuaki Imajo, Yuichiro Yoshida, Norihiro Nishida, and Toshihiko Taguchi →論文

この論文ではこれまで原因が不明で何となく鎮痛剤やシップを処方されていた腰痛の78%は診断可能と報告しています.

 

 

現在はユニタック製の小型高性能機器(→㏋)で往診レーザーも容易になっています.

 


 

 

 


 


 

 


レーザー治療の文献

Lancet. 2009 Dec 5;374(9705):1897-908.
Efficacy of low-level laser therapy in the management of neck pain: a systematic review and meta-analysis of randomised placebo or active-treatment controlled trials.
Chow RT1, Johnson MI, Lopes-Martins RA, Bjordal JM. →absract

→LLLT Wikipedia

→私の昔の文献:大屋町立南谷診療所5年間の新しい工夫
 赴任して5年間で工夫したレーザーなど理学療法の効果や褥瘡治療,脈波カオスなどまとめています.脈波の正常サンプルとして登場する12歳男児(長男)がもう研修医1年目なんだから私も年取るわけですね

レーザー治療Q&Aのホームページ
 レーザー治療の歴史から効くわけなどわかりやすくまとめられています

→レーザー専門病院 大城クリニック