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ようこそ南谷希望の杜へ
 私の恩師の先生は若い医師たちに日々の診療のひとつひとつに対して何を工夫したかをまず聞いてこられました。
今から20年前、1990年代のことです。

 その後、日本ではエビデンスやガイドラインに基づいた医療が中心となりました。これによって平均点以下の医療は少なくなるという進歩はありましたが、医者が日々の医療の問題点に悩み創意工夫することも後退したような気がします。
21世紀の後半は,ヒトそれぞれの個性を科学できる真にヒトに優しい医療が重要になると確信します.

 このサイトでは兵庫県の僻地・やぶ(養父)で工夫した医療を紹介します。もちろん,ひとりよがりではなくしっかりしたエビデンスと論文をもとに発展させたものですが,日本の医療の中では何故かメジャーにはなっていないことも数多くあります.応用の形を変えれば今後も長く参考になると思います。皆さんの創意で進化させて戴いたら大変うれしいです。


 その昔,名誉や利益に背を向け,ここ養父市に隠遁して良い医療を実践し多くの後進を指導した名医がいたそうです.やぶ医者というのはもともとこのような名医が語源だったようですが,いつのころからその医者の名だけ借りてやぶをするのがやぶ医者と呼ばれるようになりました.できれば前者になるよう常に努力したいものです.
 

その1.往診でレーザー腰痛治療

 低出力半導体レーザーで腰痛の8割は速やかに軽快します.これが効かない腰痛は圧迫骨折,強度の心因性腰痛,神経障害性疼痛で治療的診断の助けにもなります
 レーザーはその他,腱・筋肉などの局所障害性疼痛には著効します.日本でレーザー治療が流行っていないのは人手がかかる(10分程度ですけど)割には保険点数が異様に少ない(35点)からです.何より,口コミで半径50㎞の患者さんが多数来られるようになるのがその効果の証明です

 


その2.カオスや複雑系科学の診断法はまだこれから

 ガイドランやエビデンスに基づいた現代医学は正しい医学ですが,一方で,万能ではありません.
高額な医療機器を用いた診断も体の一部の異常を捉えることしかできませんし,エビデンスに基づいた医療もその診断方法や治療が統計的に差があったかを示しているにすぎません.この統計の範囲に漏れた個人の特性は多々あるあずです.
個性を尊重する医療,人に対するやさしさが現代医療に求められています


 ヒトは現代の医学では診断できない体の異常を鋭く感知しています.痛みがいつもよりつらい,今日はどこかだるい,しんどい,体が冷えるししびれる,というな一般的な訴えや健康観を診断する技術は残念ながら今の医学にはありません. 統合医学で有名はアンドリュー・ワイルは「健康とはヒトを構成する要素と環境が動的にダイナミックに良い平衡状態にあること」と定義しています.いわゆるホメオダイナミクスと呼ばれる考え方です. 日々刻々個人個人で変化するホメオダイナミクスを何とか定量・診断しようとしたのがここで紹介する脈波から生体のカオスをとらえる方法です. このカオスの考え方も10年前に一時期工学・医学の世界で話題になりましたがその後途絶えた状況です.これは古い研究分野ということではなく,まだよく消化されていない科学なのだと思っています.私や共同研究者の業績も発展途上ですが,これからも追及する価値がある課題です.

その3.高齢者の骨折予防にはテリパラチドとデノスマブを積極的に導入する

 骨粗しょう症の治療とそのガイドラインは最近大きく変化してます.それと同時にエビデンスも重要ですが骨折をしないことがモット重要です.
 当院でも2014年からテリパラチドを積極的に導入し2016年5月現在23症例延べ1112週の投与となりました.
 また,脊椎,大腿骨双方にエビデンスのあるデノスマブも積極的に導入しています.
 2015年にはランセットにテリパラチド投与の後デノスマブを継続投与すると腰椎のみならず大腿骨でも骨密度が有意に増加する報告があり,テリパラチド投与を終了した症例ではそのままデノスマブを継続しています.
 何より,従来のビスフォスホネート製剤だけでは骨折を繰り返す高齢者が後を立たないからで,骨吸収抑制から骨量増加へとハンドルを切りました.



その4.限界集落に寄り添う一軒一軒の訪問診療ー診療全体の49%を訪問で

 2016年から厚生省も訪問診療専門の診療所を認めました.その要件はまだ厳しいもので当診療所には当てはまりません.
 しかし,そういう時代になったのです.
 都会の訪問診療の実態のように高齢者の集合住宅に訪問診療するのではありません.診療所に歩いてこれない,車も持っていない,送迎する家族もいない山間の高齢者世帯を一軒一軒訪問する診療を2014年9月から始めました.昨年は1年間で訪問診療1716件,往診296件,訪問看護1324件でした.



その5.季節性に集団発生する疾病を専門家や行政と一体となって根本から解明する

 2013年から重症熱性血小板減少症候群→Wikipedia が話題となりダニ類媒介性疾患が注目されてきました.
 兵庫県大屋町(人口5000人弱)でも注意深く診断すれば毎年一人程度のツツガムシ病患者が発生しています.しかし,40度近く発熱するツツガムシ病ではなく,ツツガムシ吸着による単なる痒疹の患者さんは調査をすると町全1617世帯の25%に及びました.全く分からないところからダニの権威,行政,保健所が協力して解明した記録です.
 その後小学生から老人まで周知した結果,発生は毎年あるもののその数は大幅に減少して現在に至ります.
 ここから学んだことは,1)ダニ,ツツガムシを想定して初めてわかる病態,想定する医師・保健者がいる・いないで患者が増減する,2)季節性,地域性のある疾病・病態には必ず特徴があり解明できる,ということです.

 


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